甘やかしとしつけの境界線はどこに??

親子育対談

甘やかすこととしつけること。
この境界線って、とってもデリケート。
これは甘やかしなのか、躾るべきなのか。。
そんな疑問を日吉先生に尋ねてみました。

『3歳までが大事』とか、『0歳が一番大事』とか見たりするのですけれども、先生のお考えは?

そういう意味では乳幼児期が大事。

乳幼児期っていうのは何歳まで?

0~6歳まで、小学校に入る前の段階までね。
その時期に、人格の土台になるいろんな可能性が伸びてくるから。
特に愛着関係とか、人を愛する、愛されることね。

それから「自分はありのままの自分でいいんだ」という自己肯定感。
自分にはいろんな力があるんだ、っていう
自分自身を肯定する感情が芽生えないと、その先って伸びない。

6歳までが大事なんですね。

その時期は凄く大事。
そういう意味で大事ね。

でもそのあとが大事じゃないというわけではないですよ。
積み重ねがあって伸びていくのだから、そこでぽっきり折れちゃったら全然伸びないもの。
急にお母さんが豹変してね。
怖いお母さんになったら、それは伸びないもんね 。

6歳を超えてしまったお子さんは、もう遅いんでしょうか? 

遅くない。
気が付いた時に一生懸命やれば、変われる。
子どもは変われる。

大人になったら難しいよ。かなり難しい。
でも大人になっても、
自分の意見も言えない、人とのコミュニケーションもできない、そういう人もいるから、
そういう人にはそれなりのカウンセリングをしたり、
自分を変えて、自己肯定感が出るような治療する必要が出てきますよね。  
長い時間が掛かると思いますけど。

小学生が全然遅いってことはないです。
気が付いた時から一生懸命やればいい。

 先生に出会えたときがスタートなんですね。

だから、できるだけたくさんのお母さんに出会いたいの。

この間出会ったあるお母さんは、
私の話を聞いてね「 叱るな」って言われて、
2日間、叱らないでいたって 。

それで夕方になったら、小学生の子どもと一緒に縄跳びをしたんだって。
縄跳びをするくらいお母さんの気持ちが変わったわけですよね 。
子どもと一緒に楽しめてないじゃない。
子どもも変わったんです、それで。

ただ2日間何も怒らないだけで、変わったんです。

今まではずっと怒りつづけてたんですね。

そう。
子どもの気持ちなんて考えないで、ただ叱ってばっかりいたって。
ああしなさい、こうしなさいって、やってきちゃっ た。

『そうなんだ、子どもには気持ちがあるんだ!』って 。

そういうことに気がつかないで言っちゃうんですよね。

よく考えれば分かるはずなのに、なぜか気づかないですよね 。

なぜ気付かないかというとね、それには理由があってね。

赤ちゃんの時代は子どもは何も言わないでしょ 。
全面的にケアしないと生きていけないじゃない。
食事のことから、睡眠のことやらね 。
それから排泄のこと、お風呂もいれてあげて・・。
全面的に子どもの世話をするわけよね。 

でもそれが最初は不得意な人もいるのよ。
不得意な人でも、赤ちゃんを育てているとだんだん得意になっていくの。
だって1年もかかるのだから。
1年も練習すれば上手なるでしょう。

上手になって、できるようになった〜と思って
子どもとニコニコして気持ちよく過ごしていると、
今度はお母さんがそのタイプから外れないわけ。

子どもがものを言うようになって、
歩くようになって、自分の意見を言うようになっても、

お母さんはこう抱え込んで、
「あ、水が飲みたいの?」
子どもがうんともすんとも言わないのに、水を持ってくる。

「あ、寒そうね、 寒いんでしょ、じゃあ、着せましょう」という。
寒いとも何とも子供は言ってないのにさ。

過保護でしょ?

やりがちですね、それ・・・。

赤ちゃんのときは、それしなきゃダメなんだもの。

子どもには「今日寒いから着ようねっ」て 

言っちゃう?
それはね、赤ちゃんを育てた時のまんまでいっちゃうからなの。

切り替えなきゃいけないの。

それが2歳から3歳の時なんだけど、
その時に子どもは、わがままなことをいっぱい言う。

もう「自分で自分で」の時期だし、やりたいことはいっぱい出てくる。
興味関心から、家の中ぐちゃぐちゃやるよね。
それも腹が立つでしょ。親は。

「なんでそんな台所から鍋出すのよ」って怒るじゃない。
怒りたくなるのは分かるよね。
して欲しくないこと、家の中ぐちゃぐちゃにするんだから。
でもそれが子どもの遊びだからね。
そうなってカッと怒るでしょう。

その時に、力ずくで子どものやろうとすることを止めるわけ。
その練習をしちゃうわけ、そこでいっぱい。
ちゃんと話したって子どもは分かってくれないんだもの。
だから「やるな」になるでしょ。
そして子どもは怖いからやらなくなるでしょう。

叱ることの練習がその辺で始まって 、
そのままずっと小学校までいっちゃうわけ。

だからもう3歳になってきたら、自分で自分で言い出すんだから、
「自分のことは自分でしましょうね」に切り替えなきゃいけない 。

あとはちょっとサポートするだけにして、子どもの領域にまでこっちが入り込まない。
子どもが求めてきたら、それに応えてあげることは大事なんだけど。

何歳ぐらいから、そういうふうに切り替えていくといいのですか?

3歳ぐらいですね。
自我がしっかり出てきて 、言葉でいろんな自分の思いが言えるようになるから。

「あなたはどうしたいの?」
「お水が欲しいときは、欲しいって言ってね。」って。
(こちらから)言わなきゃ、言わないんですよ。
お水も知らなかったりするから。
でも飲まないと大変ですよね、熱中症なっちゃう。
こちらがちょっと声をかけておいて、
「水が欲しくなったら言ってね」とか。

あるいは水をすっと出しておいてもいいけれど、
自分でお水が欲しいっていうことを、
自分で表現して相手に言うことがコミュニケーションのはじまりなので、
それに入っていっちゃダメ。

自分でひとりでご飯食べる。
ひとりで歯を磨く。
お風呂に入って自分で体を洗う。
排泄も自分でする。
それが自立の始まりですから。
3歳から4歳になって、だんだんひとりでできるようになって、幼稚園に入っていく。
幼稚園で集団生活が待ってるから、お母さんは見守ってればいいんですよ。

介入しすぎるのは良くない。
介入の仕方が「叱る」だからダメなのよ、指示命令だから余計に。
それが子どもをスポイルする、ダメにする元なの。

難しいですねやっぱり

親のありかたは、子どもの成長と共に変わっていかなきゃいけいない。
小学生になって、低学年と高学年と、中学生で違っていかなければいけない。

中学生の入学式に親が行くでしょ 。
帰りに教科書と新しいカバンを持ってるのはお母さんなんだからね。
なんで本人は何も持たないで歩いてるの?って。
そういう姿よく目にするけど。
中学生になってよ?

それはちょっと、子どもがかわいそうです。 

そういうことに気付かないで育てられた子どもは、気が付かないよ。
『僕のものだから僕が持つよ』って、言ってほしいわけよね、私だったら。
親が持つ物じゃないでしょ。

これはもっと小さいときからそうよ。
子どもは子どもで自分のものは自分で管理するっていう習慣をつけて、
どこでどういうふうにしたらいいかって考えて、判断して、行動する力をつけなきゃいけない。 

その練習期間、幼児期は。
それを練習してちゃん自分でできるようにしていく。
親は見守る。
それでできるはずなんです。

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